入院日数の短期化
最近の医療保険の販売傾向としては、傷病等で医療機関に入院したり治療すると一時金がでるタイプが主流になっていますが、これは入院日数が短期化していることが主な原因です。
以下ニッセイ基礎研究所のレポートからの引用です。
入院から退院までの平均在院期間は短期化している。退院患者平均在院日数をみると、2017年には30日を下回っている。
その理由の一つとして、健康保険等制度の診療報酬制度の影響があるようです。
つまり入院医療費は医療機関の入院医療体制を評価した入院基本料に、入院環境の整備状況等に応じた様々な加算要件が加えられて設定されます。
その要件の中で平均在院日数に影響を及ぼす可能性があるのが「平均在院日数要件」と「初期加算」です。。
(1) 平均在院日数要件
入院基本料には、病院の病棟や診療所ごとにいくつかの種類がある。ここでは、病院の一般病棟のケースをみていこう。従来、入院患者何人に1人の割合で看護職員が配置されているかをもとに、7対1、10対1、13対1、15対1等に分けて設定されてきた。入院1日当たりの入院基本料は、7対1は15,910円。10対1は13,320円。13対1は11,210円。15対1は9,600円などとされている。この設定には平均在院日数要件があり、7対1は18日以内。10対1は21日以内。13対1は24日以内。15対1は60日以内であることとされている。通常、各病院は、入院基本料を確保するために、この要件を強く意識するものとみられる。
(2) 初期加算
病院の一般病棟や精神病棟、特定機能病院、専門病院等では、入院初期の患者について初期加算が行われる。病院の一般病棟の場合、加算額は、1~14日は入院1日当たり4,500円。15~30日は1,920円とされている。各病院は、初期加算を上乗せするために、これらの日数も意識することとなる。
ちなみに、退職患者の入院日数別の分布をみると、70%が14日以内の入院となっている。
ということで、要は入院日数が短い方が医療機関の収入が高くなるということですね。(回転数を上げる、つまりたくさんの方に入院してもらうことは必要ですが)
厚生労働省の資料より
有床診療所入院基本料の改定をみると
令和2年度診療報酬改定(P37)で「有床診療所一般病床初期加算の算定要件について、転院又は入院した日から起算した算定上限日数を、7日から14日へと延長するとともに、評価を100点から150点へと見直す。」とありました。
入院した患者については、転院又は入院した日から起算して14日を限度として、有床診療所一般病床初期加算として、1日につき150点を所定点数に加算する。
令和2年度の改正では、入院日数が逆に増えていますね。といっても14日という短期入院です。
令和4年度診療報酬改定(P34)ではこの14日という算定上限日数が21日となっているのですが、前回14日限度と改正されたすべての初期加算が増日されているわけではありません。
入院一時金がメインの医療保険
令和に入ってから初期加算の入院日数が多少伸びた(14日)とはいえ、やはり全体的には30日未満という短い入院日数となっているので、入院一時金、治療給付金が主となる医療保険がまだまだニーズがあるのかもしれませんね。
一日入院日額1万円の医療保険に加入しても、入院日数が10日だと入院給付金は10万円しかでませんが、入院一時金20万円の保険だと1日入院してだけでも20万円が給付されます。
そんな入院一時金がメインの保険は各社あるのですが、一時金の額は会社によって上限額が決められていますが、おおむね10万円から40万円となっています。一時金は保険会社によって主契約(一時金だけで加入できるもの)かまたは特約(主契約の保障→たいていは1入院日額5000円などの給付をつける必要があるもの)になっています。
どの保険会社もこの入院一時金(治療給付金)に入院日額1000円~2万円程度をつけたり、手術をした時の給付金や先進医療特約、三大疾病での給付金等様々な特約をつけたりすることが可能です。
下記具体的な商品のリンクです。商品名をクリックすると保険会社のウェブサイトにとぶようになっています。ほとんどの保険会社が同様の医療保険を発売していますが、例として日本社から2社、損保系子会社から2社そして外資系から2社を選びました。
保険会社名 | 商品名 |
ニッセイ | 入院総合保険 |
第一生命 | 総合医療一時金保険 |
あいおい生命 | 医療保険Aセレクト |
ひまわり生命 | 健康のお守り |
メットライフ生命 | 終身医療保障保険マイフレキシィ |
FWD生命 | FWD医療 |
9月よりアフラックから新商品として入院一時金が主契約となる医療保険が発売されます。
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