お亡くなりになられて埋葬等された場合には社会保険からは埋葬費、葬祭費等が給付されますが、お亡くなりになられた方のご遺族に対する社会保険からの保障はどうなっているのでしょうか?
こちらも埋葬費、葬祭費同様、仕事上でお亡くなりになったのか、仕事外でお亡くなりになったのかによって大きく2つに分かれます。
仕事上でお亡くなりになった場合、ご遺族には労災保険から遺族(補償)等給付があり、仕事外では国民年金または厚生年金保険から遺族年金が支給されます。
仕事上でお亡くなりになった場合
(労働者災害補償保険法)
①遺族(補償)年金等
(受給資格者) |
労働者の死亡当時、その者の収入によって生計を維持していた(一部で可)配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹(妻以外は一定の高齢または年少、あるいは一定の障害状態) |
(受給額) | |||
遺族数 | 遺族(補償)年金 | 遺族特別支給金(一時金) | 遺族特別年金 |
1人 | 給付基礎日額の153日分* | 300万円 | 算定基礎日額の153日分* |
2人 | 給付基礎日額の201日分 | 算定基礎日額の201日分 | |
3人 | 給付基礎日額の223日分 | 算定基礎日額の223日分 | |
4人以上 | 給付基礎日額の245日分 | 算定基礎日額の245日分 |
*その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は〇〇基礎日額の175日分
・給付基礎日額 |
労働基準法の平均賃金。傷病発生日直前の賃金締切日の直前3か月間の支払賃金総額(ボーナス等臨時分除く)を、その期間の歴日数で割った1日あたりの賃金額 例)傷病発生日4/3、賃金締切日3/25 3月給与32万円、2月給与30万円、1月給与28万円→(32+30+28)万円÷90日=給付基礎日額10,000円 |
・算定基礎日額 |
傷病発生日以前1年間の全特別給与(3か月を超える期間ごとの支払分で臨時に支払われた賃金は含まない)を365で割った額 |
②遺族補償一時金 遺族補償年金(業務災害のみ)の受給資格者がいないとき
(受給資格者) | |||
高 優先順位 低 | |||
配偶者 | 死亡当時生計を維持していた 子・父母・孫・祖父母 |
その他の 子・父母・孫・祖父母 |
兄弟姉妹 |
(受給額) |
給付基礎日額の1000日分 |
仕事外(プライベート)でお亡くなりになった場合
まずは、生命保険文化センターのウェブサイトにある「万一の場合に見込める社会保障「遺族年金」」をご確認ください。
概要を把握された後で、もっと詳しく知りたい方は下記を御覧ください。
(国民年金保険)
(受給権者) | |
国民年金加入中の方が亡くなった時、その方によって生計を維持されていた | |
①18歳到達年度の末日まで(障害状態は20歳未満)にある子を持つ配偶者 | ②子 |
※障害状態というのは障害等級1級または2級
(受給額)R4.4月~ | |
子のある配偶者 | 777,800円+子の加算額 |
子(全員分) | 777,800円+2人目以降の子の加算額 |
2人目までの子の加算額 | 各223,800円 |
3人目意向の子の加算額 | 各74,600円 |
(受給要件) |
1.国民年金の被保険者である間に死亡したとき |
2.国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき |
3.老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき |
4.老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき |
1,2⇒死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。
3,4⇒保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る。
〇死亡一時金(遺族基礎年金が受けられない場合)
(受給権者) |
生計同一の遺族(1.配偶者、2.子、3.父母、4.孫、5.祖父母、6.兄弟姉妹) |
(受給額) | |
月数 | 金額 |
36月以上~180月未満 | 12万円 |
180月以上~240月未満 | 14万5000円 |
240月以上~300月未満 | 17万円 |
300月以上~360月未満 | 22万円 |
360月以上~420月未満 | 27万円 |
420月以上 | 32万円 |
※付加年金→付加保険料の納付済月数が 36 月以上ある場合は、上記金額に 8,500 円が加算されます。
(受給要件) |
死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数(4分の3納付月数は4分の3月,半額納付月数は2分の1月,4分の1納付月数は4分の1月として計算)が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった時 |
〇寡婦年金(死亡一時金と選択)
(受給権者) |
第1号被保険者であった夫の妻が60歳~65歳の間に支給される |
(受給額) |
夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額 |
(受給要件) |
死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および国民年金の保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったときに、その夫と10年以上継続して婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)にあり、死亡当時にその夫に生計を維持されていた妻 |
(厚生年金保険)
◎遺族厚生年金→老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3(最低保証として300月)
老齢厚生年金の報酬比例部分 |
平均標準報酬月額×7.125/1,000×2003年3月までの保険に加入している期間(月)+平均標準報酬額×5.481/1,000×2003年4月以後の加入している期間(月) |
(参考)年金定期便で確認
夫が死亡した場合 | 夫が自営業者 | 夫が会社員 | |||
平均標準報酬月額 | |||||
25万円 | 35万円 | 45万円 | |||
遺族基礎年金 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | ||||
子供の いる妻 |
子3人 | 月約10.8万円 | 月約14.2万円 | 月約15.5万円 | 月約16.8万円 |
子2人 | 月約10.2万円 | 月約13.5万円 | 月約14.9万円 | 月約16.2万円 | |
子1人 | 月約8.3万円 | 月約11.7万円 | 月約13.0万円 | 月約14.3万円 | |
子供の いない妻 |
妻が 40歳未満 の期間 |
支給なし | 遺族厚生年金 | ||
月額約3.3万円 | 月額約4.6万円 | ||||
妻が 40歳~64歳 の期間 |
支給なし | 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 | |||
月約8.2万円 | 月約9.5万円 | 月約10.8万円 | |||
妻が 65歳以降 の期間 |
妻の老齢基礎年金 | 遺族厚生年金+妻の老齢基礎年金 | |||
月約6.5万円 | 月約9.8万円 | 月約11.1万円 | 月約12.5万円 | ||
妻が死亡した場合 | 妻が自営業者 | 妻が会社員 | |||
平均標準報酬月額 | |||||
25万円 | 35万円 | 45万円 | |||
遺族基礎年金 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | ||||
子供の いる夫 |
子3人 | 月約10.8万円 | 月約14.2万円 | 月約15.5万円 | 月約16.8万円 |
子2人 | 月約10.2万円 | 月約13.5万円 | 月約14.9万円 | 月約16.2万円 | |
子1人 | 月約8.3万円 | 月約11.7万円 | 月約13.0万円 | 月約14.3万円 | |
子供の いない夫 |
夫が 65歳未満 の期間 |
支給なし | 遺族厚生年金 | ||
支給なし | |||||
夫が 65歳以降 の期間 |
夫の老齢基礎年金 | 遺族厚生年金+夫の老齢基礎年金 | |||
月約6.5万円 | 月約6.5万円 |
☆65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある方が、配偶者の死亡による遺族厚生年金を受け取るときは「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高い方の額が遺族厚生年金の額
(受給権者)死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方 |
1.妻(※1) |
2.子(18歳到達年度の末日までにある方(1,2級障害の状態にある場合は20歳未満)) |
3.夫(死亡当時に55歳以上である方に限ります。)(※2) |
4.父母(死亡当時に55歳以上である方に限ります。)(※3) |
5.孫(18歳到達年度の末日までにある方(1,2級障害の状態にある場合は20歳未満)) |
6.祖父母(死亡当時に55歳以上である方に限ります。)(※3) |
※1 子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給可能。
※2 受給開始は60歳から。ただし遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給可能。
※3 受給開始は60歳から。
優先順位 | ||||
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
子のある妻 | 子のない妻 | 55歳以上の 父母 |
孫 | 55歳以上の 祖父母 |
子のある 55歳以上の夫 |
||||
子のない 55歳以上の夫 |
||||
子 |
(受給要件) |
1.厚生年金保険の被保険者である間に死亡 |
2.厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡 |
3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡 |
4.老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡 |
5.老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡 |
〇中高齢寡婦加算 40歳から65歳になるまでの間、583,400円(年額)が加算されます
1.夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子※がいない妻 |
2.子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、 遺族基礎年金を受給できなくなった遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻 |
注意:老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年(中高齢者の期間短縮の特例などによって20年未満の被保険者期間で共済組合等の加入期間を除いた老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人はその期間)以上の場合に限ります。
〇経過的寡婦加算
・遺族厚生年金を受けている妻が65歳になり、自分の老齢基礎年金を受けるようになった時に65歳までの中高齢寡婦加算に代わり加算される一定額で、それまでの中高齢寡婦加算と老齢基礎年金の差額を埋めるものを経過的寡婦加算といいます。
まとめ
遺族に対する年金等給付金はいくら支払われるのかは、特に遺族厚生年金ではかなりややこしい計算となります。
しかし年金定期便等があればすぐにわかります。
定期便をご確認させていただければ、ご説明させていただきますので下記のフォームにご記入ください。追ってご連絡させていただきます。
コメント